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発見者がノーベル賞受賞で大注目!!今話題の“お肌の感覚センサー”「トリップチャネル」をうまく活用して日々を快適に♪
2021/12/10 00:00

わさびを食べると鼻の奥がツーンとしたり、シップを貼るとヒリヒリしたり…。
これらの反応に共通しているのは、人間の細胞に備わった、周囲の環境変化を感じ取って対応し、生命を維持していくためのある“仕組み”なのです。 2021年には発見者がノーベル賞を受賞したことで、さらに注目を集めているこの“仕組み”。うまく利用することで、普段の生活がより快適に過ごせるようになるかも?そんなTIPSをいくつかご紹介します。

1.研究者のノーベル賞受賞で大注目!うわさのTRP(トリップ)チャネルって?

私たち人間は、外からの刺激を感知・判断する様々なセンサーを持ち合わせています。熱いお鍋のふたに「ヤケドしそう!」とパッと手を放したり、見た目やにおいなどで「これは食べられないもの…」と判断したりするように、生命の危険察知にかかせないものとして発達した「視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚」の五感は広く知られているところ。実はそのほかにも、人間の細胞には五感とは違うもうひとつのセンサーとして、「TRP(トリップ)チャネル」という温度を感じる感覚センサーも存在しています。

このTRPチャネルは、2021年ノーベル賞医学・生理学賞受賞研究「温度・触覚の受容体」のひとつ。TRPチャネルのうち、温度を感知するものにはいくつも種類があり、それぞれ反応する温度帯が異なっていることや、人間だけでなく昆虫から動物までほぼすべての生物に備わっていることなど、正体が少しずつ明らかになり注目が高まっています。


TRPチャネルは温度だけではなく、特定の化学物質にも反応することも明らかに。例えば、熱さに反応する感覚センサーTRPV1(ブイワン)は、43℃以上の熱さによっても、トウガラシの辛みの主成分カプサイシンによっても活性化されます。トウガラシを食べたときに口の中がヒリヒリするような辛みは、味覚というよりは痛みに似た感覚です。「辛い」と「熱い」どちらも英語で「hot」と表現するのは、本能的に同じ感覚で捉えていたから生まれた言葉なのかもしれません。


それぞれのTRPチャネルを活性化する化合物の組み合わせを知ることで、逆に熱さや冷たさ、痛みなどの感覚をうまくコントロールできることも。身近なもので手軽に試せる、TRPチャネルを活用したライフハックをいくつかご紹介しますね。

2.TRPチャネルにスイッチオン!
「TRP温活」のススメ

いつものお風呂にハッカ油を数滴、からだは温まるのに気分スッキリ!

いつものお風呂にドラッグストアなどで入手できるハッカ油を数滴たらすと、お湯は熱く体は温まっているのにスーッとした清涼感を感じます。これは、ハッカ油に含まれるメントールを冷たさに反応するTRPM8(エムエイト)が感知して、脳に「涼しい」という信号を送っているから。暑い季節だけでなく、お風呂上りののぼせが苦手でスッキリしたい方にもオススメ。

もっとスッキリしたい時は、お風呂上りのお水の前に、ミントタブレットを口に含むと、メントールと温度の相乗効果でさらに冷たさが増して感じられます。ミントを浮かべたデトックスウォーターとして飲むのもオススメです。暑い季節に涼しく過ごす「クールハック」として使ってみては。


つらい冷えには食べ物であたためて「TRP温活」

先程の例でもあったトウガラシで活性化するTRPV1は、あたたかい温度に反応するTRPチャネル。このTRPV1を刺激する成分は他にもあります。冷えに効くとして人気のショウガに含まれる辛味成分のジンゲロールやショウガオールもTRPV1を活性化します。

ローリエやクローブに含まれるオイゲノール、山椒のサンショール、胡椒のピペリン、タマネギやニンニクのアリシンなども同じくあたためアイテム。ローリエ、クローブ、タマネギの入ったポトフや、トウガラシやニンニクなど、スパイスを多く含むカレーのように、身体があたたまると感じていた料理には、TRPV1を刺激する食材が多く含まれていますね。

これらの食材をつかった「TRP温活料理」に加えて、さらにお手軽にお試しできるのが、ジンジャー、クローブ、黒コショウと紅茶の葉を数分一緒に煮出した「TRPチャイティー」。体の内側から温まり、めぐりを良くするだけでなく、ほっと一息リラックスして、自律神経の乱れを整えましょう。

3.炎症物質を抑える救世主、TRPM4(エムフォー) が美肌のカギ?

さきほどから「熱い」「冷たい」を感知するTRPチャネルの話はしてきましたが、実は、適温と感じる「あたたかい」温度帯にも反応するTRPチャネルがいくつかあったことにお気づきでしょうか…?

危険察知のために発達した温度センサーなのに、あたたかい温度帯での反応って必要なの?と不思議に思われた方もいるかもしれません。もちろん、これらにもきちんと働きがあり、実は美肌に大きく関連しています…!

それは、TRPチャネルのひとつ、M4(エムフォー)。このTRPM4が活性化すると、肌にダメージを及ぼす「炎症性物質」の分泌を抑える働きがあることがわかりました。

炎症というと、肌が傷ついたときなどの赤みや腫れ、痛みや熱など…をイメージするかもしれません。確かにそれは強い炎症が起こった状態で、傷口から侵入してくる外敵から体を守るために体に備わった“免疫”という防御システムによるものです。風邪やインフルエンザ、新型コロナによる熱や痛みというのは、ウイルスという敵を排除するために免疫が働き、炎症が起きている状態なのです。

ところがここまでの強い炎症ではなくても、「ちょっとした炎症」が日々肌の中で起きているのはご存知でしょうか?朝はとっても調子が良かったのに、夜はお疲れ顔で肌もどんより──なんてことありませんか。

メイク崩れ?疲れのせいかな?などと思われているかもしれませんが、実際には日中の刺激により肌の中では炎症が起き、その炎症が肌荒れ、くすみや毛穴の開き、キメの乱れなどの肌トラブルや、さらには肌の弾力の低下やシミやシワなどの肌老化などを引き起こしているのです。


肌自体には、本来、日中の紫外線はもちろん、外部からの様々な刺激に対して炎症性物質を産生し、免疫反応を起こすことで肌を守ろうとする力を持っています。しかしバランスを崩し、肌を守ろうとしすぎて炎症性物質が過剰に産生されたり、産生され続けてしまうと、逆に肌に悪影響を及ぼしてしまうのです。

その結果、肌のターンオーバーが崩れ、キメの乱れ、乾燥などの肌トラブルを引き起こし、さらにはコラーゲン分解酵素の分泌が促されて肌の弾力も低下してしまうのです。

このお肌のバランスを整えるには…というところで、調整役を果たしてくれるのが「TRPM4」という、あたたかい温度で活性化するTRPチャネル。
TRPM4が活性化されると、肌細胞からの炎症性物質の産生が抑えられることが分かったのです。

TRPM4は肌荒れや肌の弾力低下につながる肌の炎症を抑え、わたしたちを守ってくれていたのですね。

4.実は意外と日常に活かされている
TRPチャネル研究!

これまでみてきたように、「TRPチャネル」の研究は、「ピリピリ」「ヒリヒリ」といった不快な刺激を抑え快適に使えるヘアカラーやメイク落とし、ちょうどよい冷たさで「スーッ」と清涼感を感じられる制汗剤など、製品開発にも活かされ、日常をより快適にサポートするアイテムとして様々な場面で活用されています。


また、美肌のカギとも言える「TRPM4」に着目し誕生したスキンケアシリーズ「エムフォ―」。このブランド名の由来は「感覚センサー TRPM4」からきています。


五感プラス、温度や化学刺激を感じ取る感覚センサーである「TRPチャネル」も、危険を回避しより安全に、快適に日常を過ごすための機能として、従来人間に備わっていたもの。これらを研ぎ澄まし、サポートするアイテムをうまく活用して、より快適な日々を過ごしていきましょう。


関連記事:2021年ノーベル医学・生理学賞受賞研究「温度・触覚の受容体」のひとつ、五感とは違う感覚センサー TRP(トリップ)チャネル

関連記事:TRP CHANNEL TIPS

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監修:齋藤 香織 博士〈材料科学〉
株式会社マンダム 基盤研究所 ライフサイエンス研究所 研究員
 

画像1・5枚目  撮影:花盛友里、スタイリング:玄長直子、ヘアメイク:上川タカエ 衣装協力:メゾン ド ソイル(メゾン ド ソイル 恵比寿店)